地方移住に必要なお金の準備【交通費編】

近年、地方移住への関心が非常に高まっています。
ある調査では2008年から2018年までの10年間で、地方移住について相談する人が10倍になったという報道もあり、また実際に地方へ移住する人も増えてきています。

地方移住は、定年後を田舎で過ごしたいと考えるシニア世代だけでなく、自然豊な環境でのびのびと子育てをしたいと考える若い世代にも、ニーズが広がっています。

こうした動きはライフスタイルの多様化も相まって活発化していますが、移住に当たって考えておくべき重要な準備があります。
それは必要資金とライフプランニングです。その中でも大きなウェイトを占めるのが、住居費、交通費、教育費でしょう。

今回は、「交通費」に焦点を当てて、どのように準備すればいいのかを解説します。

地方の交通事情

東京をはじめとする都心部では、公共の交通網が発達していることもあり、自家用車を持つ方も年々減ってきていると言います。

しかし地方では反対に、公共の交通網よりも自家用車での移動がメインとなっています。
都市部と異なり地方では、住居地域と商業地域が離れていることが多く、またバスや電車といった公共の交通手段の本数も少ないため、自宅から職場やスーパーなどに行くにも車がないと不便なためです。

今や地方では車は一人一台が当たり前。高校生でも18歳を迎えるとすぐに教習所に通い、免許を取得したら卒業前に車を購入する家庭も一般的になっています。

車の購入にかかる費用

地方では「車は必需品」といわれますが、それにかかる費用はばかにできません。
では、一体どのような費用が購入時にかかるのでしょうか?

車両購入費

まず真っ先に考えるのは車両の購入費だと思います。
中古車の場合は50万円程度でも購入可能ですが、新車の場合は軽自動車でも150万円程度かかります。オプションを付ければ200万円を超えることもあり得ます。

また、車の購入に際しての諸経費として、以下3つの税金が掛けられます。

自動車重量税

車両の新規登録時および車検時にかかる税金で、車両の重量によって金額が決まります。
エコカーの場合は車両の重量0.5t毎に2,500円、非エコカーの場合は4,100円が課税されるため、車両重量1.5tのエコカーを購入すると7,500円を支払うことになります。

環境性能割

2019年10月1日より、これまでの自動車取得税に代わり始まった新しい税制です。軽自動車は取得金額に対し0~2%が、通常車両は取得金額に対し0~3%が課税されますが、燃費がよい車ほど税率が低くなります。

自動車税種別割

毎年4月1日時点の自動車の持ち主に対して課税される税金です。
毎年5月に納税書が届き、翌年3月までの税金を一括で納めますが、車両を購入した年は購入した月から翌年3月までの税金を、月割で支払うことになります(軽自動車の場合は月割制度がないため、4月2日以降に購入した場合は翌年3月まで自動車税種別割の支払いはありません)。

税金の金額は排気量別に定められており、例えば排気量1000cc以下の車を6月に購入した場合は、20,800円になります。

参考:令和元年10月 変わりました!クルマの税 [CHANGE CAR TAX]

なお、この税金はこれまでは「自動車税」と呼ばれていましたが、2019年10月1日より名称が変更されました。

購入時にかかるその他費用

これらの税金の他にも、購入した販売店に支払う「代行費用」があります。
代行費用の内訳としては、以下のものがあります。

  • 車両登録代行費
  • 車庫証明書代行費用
  • 納車費用
  • 洗車・クリーニング費用
  • 希望ナンバー代行費用
  • 保証サービス

それぞれにかかる金額や項目は販売店によって異なるため、購入前に確認しておくと安心かもしれません。

車の維持にかかる費用

車にかかる費用は購入したら終わり、という訳ではありません。

日常的に必要となる費用

まず必要となるのは、ガソリン代です。
ガソリン代は運転頻度や距離によって差が大きいため、できるだけ燃費のよい車を購入するなどで対策をしましょう。

賃貸など、住んでいる住居に駐車場がない場合は、駐車場を借りる必要があります。

地方であれば月1万円以下で借りられる場合もありますが、年単位で考えれば12万円程度となります。
駐車場を借りている間はずっとかかる費用となりますので、やはり軽くは考えらえません。

また、タイヤやチェーン、エンジンオイルなどの消耗品の費用もかかります。

年単位で必要となる費用

年単位で必要となる費用に、まず第一に自動車税や重量税といった税金があります。
その他にも、車検費用や自賠責保険、点検費用が必要です。

思わぬ事故や災害に備えて自動車保険に任意加入した場合は、その保険料も必要となります。

JA共済が行った試算によると、これら車の維持にかかる費用は軽自動車で年間約38万円、コンパクトカーでも約44万円かかるそうです。

まとめ

公共の交通網があまり発達していない地方では、車は必需品となります。
しかし、車の購入費だけでなく維持費用も、乗り続けている間ずっと必要となります。

都心部に住んでいると忘れがちなこういった費用についても、きちんとシミュレーションに含め、移住後の生活費を試算することが大切になります。