海も山も人も楽しめるまち-静岡県静岡市- Part.2

Day2(6/1)

早朝の海を散歩
→ 宿泊施設オーナーと交流
→ 生しらすを堪能
→ 用宗みなとマルシェ/マルシェ視察
→ 静岡おまちバル/静岡市駅前で食べ歩き
→ 浜辺で花火

早起きは三文の徳?

せっかく海が近い地域に来たのだからと、この日は朝から海へと出かけた。実は用宗は、JRの沿線上で最も駅から海が近い地域である。宿からは歩いて2分で海へ出ることができた。普段は寝られるギリギリの時間まで寝る私だが、波の音を聞きながら浜辺で寝転がっているのは気持ちが良く、早く起きて良かったと思った。

しばらくしてから宿に戻ると裏口が開いていた。不思議に思って覗き込むと一人の男性と目が合った。これが用宗A邸の家守・八木さんとの出会いであった。

「コーヒー飲む?」

「良いんですか?」

早起きは三文の徳とはこのことか、と思いながら正面に回って共用スペースへと向かった。コーヒーが好きだというのもあったが、用宗A邸には興味深い箇所が多く、前夜から家守さんに話を聞いてみたいと思っていたのだ。

 

家守さんが淹れてくださったコーヒー

コーヒーが入るのを待ちながら改めて宿を見渡す。聞きたいことは山のようにあった。

「これはなんですか?」

「これ面白いですね」

あちこち動き回りながら質問する私に八木さんは嬉しそうに答えてくださった。途中からNさんも加わり、同じADDressの家守として宿のDIYについて語り合っていた。「こういうふうに家守同士情報共有していくのもADDressの文化なんだろうな」と思いながら聞いていた。

「旅する本棚」。蟻のシールが貼られている本は、持ち出したり感想を書き込んでも良いという

いざ、港へ

11時に全メンバー揃って用宗駅に集合ということになっていたため、ひとしきり話した後、八木さんに声をかけて宿を出発した。

「ちょっと出かけてきます!」

「いってらっしゃい!」

普段一人暮らしをしている私にとって、このやりとりはちょっとした喜びであった。シェアハウスで暮らしてみるのも良いかもな、と思いながら駅に向かった。

駅に着くとプログラムメンバーが続々と改札から出てきた。事前にオンラインで顔を合わせていたとはいえ、実際に会うとまた違う印象を受けた。お互い自己紹介をしているうちに、この人たちとこれから半年間活動していくのだ、という実感が湧いてきた。

自己紹介を済ませるとさっそく港へと向かった。すでに海は見ていたが、船が停泊している港ではまた違った風景を楽しむことができた。この日はよく晴れていて、きれいな風景に海に飛び込みたい衝動に駆られた。

用宗の名産であるしらすが食べられるということで、港のそばの露店で生しらすとマグロがのった丼を注文した。心地よい風が吹く中、港を眺めながらとる昼食は最高だった。時間があればしらすをとる船に乗せていただくこともできたらしい。次回来る時の楽しみが一つ増えた。

マルシェの視察

食事が終わると、12月に出店するのと同じマルシェの視察に出向いた。すでにピークの時間帯は過ぎたようで客足が落ち着いていたため、会場全体を堪能することができた。

出店しているのは食べ物からハンドメイド作品、リラクゼーションサービスまで様々で、販売の様子を観察しつつ、私自身もいくつかのアクティビティを体験してみた。

キーホルダー作りを体験しながら、その店の手伝いをしていた子どもに話しかけてみた。店主らとじっくり話しながら買い物を楽しむことができるのはマルシェならではの魅力だろう。キーホルダーは、その子どものアイデアも取り入れた共同作品となった。今回の旅の思い出の品である。

会場では地元の大学生がマルシェ全体の運営を手伝っていたため、彼らとも交流した。私たち6人に彼ら5人が加わって、大きな円が会場の真ん中に誕生した。

12月のマルシェに活かすことができそうな情報が得られただけでなく、それぞれが普段取り組んでいる活動の話にもなり、同じ関心分野を持つ学生同士で盛り上がったりもした。課外活動に関する視野が広がった良い時間であった。

 マルシェを楽しんだ後は静岡市役所とzoomをつないでいただき、静岡市に関する基本情報の聞き取りを行った。静岡市には北の方に秘湯が存在しているということや、海のアクティビティも山のアクティビティも豊富で贅沢に楽しむことができるという魅力を知ることができた。自然体験が何よりも好きな私にとってはワクワクする時間であった。

 また静岡市は、東京・有楽町にて43都道府県が移住の相談窓口を置く「ふるさと回帰支援センター」で、市町村として全国で唯一相談窓口を置いているという。移住に力を入れているということが伝わってきた。

 夕方になると今度は静岡駅に移動した。豊かな自然の残る用宗からわずか7分で移動できるのだから便利なものである。歩行者天国の広がる大通り、子どもたちが走り回る芝生の広場、きれいにデザインされた建物群……。私は都会があまり好きではないのだが、静岡駅周辺の開放的な雰囲気はとても気に入った。

市街地での食べ歩き

 移動してきた目的は、駅周辺で開催されていた「静岡おまちバル」であった。「静岡おまちバル」とは、事前に加盟店で使えるチケットを購入し、加盟店の情報がまとめられたマップを片手に駅前を巡り歩いて、気になった店舗に立ち寄って店舗自慢の一品を楽しむというイベントである。

加盟店には飲食店だけではなく、接骨院や花屋なども含まれていた。中にはチケット一枚でできる体験として、「ボーリング2ゲーム」や「猫背矯正」などを挙げている独特な店舗もあった。食べ歩きの合間のちょっとした楽しみになりそうである。

 今回で25回目を迎える「静岡おまちバル」だが、考案者の松下さんの食べ歩き好きが高じて始まったイベントだそうだ。好きなことを突き詰めて地域にも貢献している松下さんの生き方は、大学卒業後の進路を意識し始める時期に差し掛かった私に指針を示してくれた。

花火で深まる絆

 用宗に戻った後はプログラムメンバーと浜辺で花火を楽しんだ。用宗では浜辺で花火やBBQをすることが許可されている。私はよく旅をするのだが、いつどこへ行っても花火をしたがるので、旅仲間には花火好きとして認知されている。しかし私にとって花火は手段であるという意味合いが大きい。花火を通して仲良くなった友人がたくさんいる。

「花火してるみんながかわいい」

と誰かがつぶやいた。花火はその人の素の姿を引き出してくれる。風の強い浜辺でいかに火をつけるか。数本まとめて浜辺に突き立てた花火にいかに同時に火をつけるか。私たちはその日一のチームワークを発揮して、遊びに全力になっていった。暗闇に浮かびあがる皆の顔は、花火の光に照らされていることを差し引いても、昼間の何倍も輝いていた。

浜辺で花火

Part.3に続く……

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