長野県への移住 教育編
大学卒業後、約10年間金融機関に勤務。お客様に寄り添った提案をするためには、経済状況や商品の知識だけでなく、ファイナンシャルプランナーの知識が必須だと痛感。 現在は1級ファイナンシャルプランナーとして活動している。
長野県へ移住する場合、考えなければならないことの1つに、子供の教育費があります。現在は、3歳児から5歳児の幼稚園・保育所の利用料は無償化されました。また、地方では公立の小中学校、高校が主流となっており学校にかかる費用もそれほど多くはありません。地方出身者にとって学費が最もかかる時期は、大学入学から卒業までの期間になります。本日は子供の高校卒業後の教育費に焦点を当てて解説していきたいと思います。
大学卒業までいくらかかる?
そもそも大学4年間にかかるお金はどれぐらいでしょうか。お子さんが地元の大学や専門学校へ進学する場合、親元から通うことができるため費用が抑えられます。しかし長野県にある大学の数は11校(国立1校、公立4校、私立6校)で、高校卒業後の県外進学率は70%以上となっています。県外への進学となると、授業料の他に住居費などが発生するため生活費の仕送りも準備する必要があります。
<授業料>
大学の授業料は国公立か、私立か、どの学部に進学するかによって左右されます。国公立よりも私立では大学に納入する入学金や授業料などが高めの傾向があります。国立大学へ進学する場合、4年間で平均250万円かかります。また私立大学へ進学する場合は平均400万円かかります。
(参考)
国公私立大学の授業料等の推移(文部科学省)
私立大学等の令和元年度入学者に係る学生納付金等調査結果について(文部科学省)
<生活費>
お子さんが県外に進学する場合、住居費・光熱費・食費など授業料以外にも費用が発生します。仮に月々の生活費が10万円かかるとすると、授業料の他に480万円かかります。
資金の準備方法
では大学4年間の授業料や生活費にかかる資金はどのように準備すれば良いのでしょう。ここでは一例ですが、ご紹介させていただきます。
児童手当
各自治体では、所得制限はあるものの児童手当を支給しています。例えばこれを全て大学の資金に回すと、合計198万円にもなります。
- 0~3歳未満まで月額1万5千円で計54万円
- 3歳~小学校まで月額1万円で計108万円
- 中学校3年間月額1万円で計36万円
ただし児童手当を全額大学資金に回したとしても、不足分が発生するのでそれとは別に学費を準備する必要があります。
学資保険
かつては学資保険に加入すると、返戻率120%の商品も多くありました。しかし近年はマイナス金利政策の影響もあり返戻率105%程度の商品が主流となっています。預貯金よりは増えますが、決して高い利率ではありません。また学資保険は預貯金とは異なり、払い込んだ保険料を途中で引き出すことはできません。
学資保険のメリットとしては、契約者である両親(祖父母)に万が一のことが起こった場合には、支払うべき保険料が免除される特約を付加できるので、保険料を支払うことなく満期金や途中の入学祝い金を受け取ることができます。
投資(株式・投資信託)
貯金や学資保険は確実に教育資金を貯められますが、大きく増やすことはできません。そこで検討したいのが「投資」です。毎月貯める教育資金の一部を投資に回すことで、高い利回りが得られる可能性があります。投資の初心者の方は「投資信託」をメインに過度な値動きのしない「債券型ファンド」もあるのでチェックしてみてはいかがでしょうか。
自治体からの奨学金
長野県では一部の市町村で奨学金を支給しています。例えば佐久市では、大学・短大・専門学校等へ進学予定の方を対象とした奨学金を貸与しています。
- 大学等を卒業後、佐久市に帰郷した場合「奨学金の返済(償還)を1/3免除できます」(他にも要件有)
- 利息は原則つきません「利息・貸付保証料」は不要です。
- 申請は「大学等の進学先が決定してから」です。
- 生活やご兄弟の進学に合わせ「大学等の2年生以降の申込」もできます。
貸与額は、国公立大学で月額3万円、私立大学で4万円となります。
日本学生支援機構が支給・貸与している奨学金以外にも、各自治体の奨学金もチェックしてみましょう。
まとめ
長野県などの地方では、まだまだ小中学校・高校は公立の学校が主流となっています。そのため本格的にお金の準備をしなければならないのは高校卒業後の進学にかかる費用です。資金の準備方法は、学資保険・投資などと様々なものがあります。メリット・デメリットをしっかり理解し加入したいものです。また親子で定期的に進路の話し合いをし、どのような学校へ進学希望なのか、どれぐらいの費用なのかをしっかり把握することが大切です。