移住前に知っておきたい信州の気候

この記事を書いた人
永瀬 由貴
FPサテライト株式会社
永瀬 由貴

大学卒業後、約10年間金融機関に勤務。お客様に寄り添った提案をするためには、経済状況や商品の知識だけでなく、ファイナンシャルプランナーの知識が必須だと痛感。 現在は1級ファイナンシャルプランナーとして活動している。

移住したい県の上位にランクインする長野県ですが、その魅力の1つは豊かな自然や、気候ではないでしょうか。今回は気候に焦点を当てて解説したいと思います。

長野県の気候の概要

長野県の夏は涼しく過ごせると避暑地として有名です。また冬は冬季オリンピックも開催される程、雪が降り寒い地域になります。

長野県の気候は海岸から遠く離れた内陸に位置していることから、全国的に内陸特有の気候が明瞭になっています。海岸地方に比べ、寒暖差が大きく、湿度が低い地域となっています。

下記データは東京都と長野県の年間平均気温(2021年度)ですが、3.7度も差があることがわかります。

東京都 年間平均気温16.6度

長野県 年間平均気温12.9度

(参照)気象庁HP「過去の気象データ検索」 

冬の気候

移住をするのに気になるのは雪の量だと思いますが、地域によって冬の積雪量にはかなりの差があります。スキー場などで有名な白馬村では、3メートル近くの積雪がある一方で愛知県に近い飯田市では10センチメートル程度の積雪しかありません。

また冬にかかる暖房費ですが、都内では冬はエアコンなどの暖房を利用されている方が多いと思います。一方、長野県はエアコンのみで暖房対策をされている家庭は少ないように思います。石油ヒータや、こたつ、就寝時は電気毛布等も併用するため、暖房費は都内より高くなります。暖房費は都市部より高くつくことは、避けられませんが、県内では暖房費に助成金がでる自治体も多くあります。

県内には森林が多く、木材などの資源が豊富です。そのため地球温暖化防止のために資源を新エネルギーとして有効活用するという目的で助成が行われています。ここではその一例を紹介します。

・朝日村 <新エネルギー普及促進事業補助金> 新規に太陽光発電(住宅用)、薪ストーブ、ペレットストーブを設置する方にその費用の一部を補助しています。

・阿智村 <住宅等太陽光発電システム設置補助金>住宅等の太陽光発電システムの設置に要する経費に対し、予算の範囲内で補助金を交付しています。

・飯田市 <再生可能エネルギー機器等設置補助金>ペレットストーブ・ペレットボイラーを設置した方からの申請に基づき補助を行っています。

・伊那市 <薪ストーブ等の設置に対する補助金>市内の住宅などへの薪ストーブなどの設置に要した経費に対して、予算の範囲内で補助金を交付しています。

・上田市 <薪ストーブの購入補助制度>木質バイオマスの利用を促進するため、薪ストーブの購入経費の一部を助成しています。

・大町市 <薪ストーブ設置の補助>地域資源である間伐材の活用等を目的として、薪ストーブ本体の購入経費を助成しています。

・木曽町 <森林エネルギー活用事業補助金>ペレットストーブなどの設置にかかる費用を一部助成しています。

・駒ケ根市<自然エネルギー設備導入えがおポイント補助>

対象は再生可能エネルギーを利用し、発電・熱利用をするための住宅用設備で、市内の加盟店で使えるポイントを還元しています。

例)太陽光発電、風力・小水力・地熱等を利用した暖房または給湯設備、蓄電池、ペレットストーブなど

春の気候

長野県の春は、冬から夏への季節の変わり目で、激しい寒暖差が起きる季節です。4月になっても長野県の1日平均気温は10度と寒い日も多いです。春になっても気温は低くまだまだ暖房はかかせません。

夏の気候

長野県は避暑地として有名なところから、夏は涼しく過ごせる点が、移住の大きな魅力の1つだと思います。

しかし、近年は温暖化の影響もあり涼しいのは地域によって異なります。市街地では、7月からは25度以上が当たり前となり8月のピーク時には38度を記録したこともあります。

上記のことからも分かるように日中の気温はとても暑く、エアコンなしで過ごすことは難しいです。長野県は、2020年までに全県の公立高校にエアコン整備の方針を出しました。

(参考)長野県「県立高校の冷房設備について

夏のエアコン代も日中は都市部と同じようにかかりますので、注意が必要です。ただ補足ですが、大都市に比べれば1日の中で寒暖差がありますから、朝晩は涼しく過ごせることでしょう。

秋の気候

秋に心配なのが台風の影響ではないでしょうか。長野県は3000m級の日本アルプスがあるため台風は進路を阻まれ、被害は少ないという傾向がありました。台風が県内に接近する度にこの「鉄壁」の存在が取り沙汰され「長野県民は台風被害から守られている」との声もよく聞かれました。

しかし記憶に新しいところで、2019年の台風19号は県内で過去最大級の水害となりました。記録的な豪雨により千曲川が氾濫し、住宅や農地に泥水や土砂が流れ込み甚大な被害となってしまいました。近年の異常気象から考えると、台風には油断せず、しっかり対策する必要があると思います。

話はそれましたが、10月の1日平均気温は14度、11月になりますと7度まで下がります。10月の朝晩から暖房が必要になる日も増えてきます。

まとめ

長野県は大都市に比べ平均気温が低いので、10月から4月までと暖房費がかかる時期が長くなります。また朝晩の冷え込みがきついためエアコンのみの防寒対策では不十分です。各自治体で助成金を出しているところも多いので、お住い予定の自治体に事前に確認する必要があります。

夏は避暑地として有名だが、実際は夏のクーラーはかかせず、電気代は予想以上にかかります。

光熱費は快適に暮らすためには必要な部分ですので、あとでびっくりすることのないように、少し増えることを前提に考えておくと良いです。

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