地方移住に必要なお金の準備【住居編】
近年、地方移住への関心が非常に高まっています。
ある調査では2008年から2018年までの10年間で、地方移住について相談する人が10倍になったという報道もあり、また実際に地方へ移住する人も増えてきています。
地方移住は、定年後を田舎で過ごしたいと考えるシニア世代だけでなく、自然豊な環境でのびのびと子育てをしたいと考える若い世代にも、ニーズが広がっています。
こうした動きはライフスタイルの多様化も相まって活発化していますが、移住に当たって考えておくべき重要な準備があります。
それは必要資金とライフプランニングです。その中でも大きなウェイトを占めるのが、住居費、交通費、教育費でしょう。
今回は、「住居費」に焦点を当てて、どのように準備すればいいのかを解説します。
購入と賃貸、どちらがよいのか?
移住先での住まいを考えた場合、まず浮かぶのは「購入した方がいいのか、それとも賃貸にする方がいいのか」ではないでしょうか。
それでは、購入した場合、賃貸にした場合それぞれで、どのくらいの費用が必要になるのでしょうか。
住まいを購入する場合
住まいを購入する場合、方法は二通りあります。
1つは、住みたい地域に土地を購入し住居を新築する方法です。
住宅金融支援機構が行った2018年度の「フラット35利用者調査」を見ると、地域によって多少の違いはありますが、都市部以外の地域では概ね3,000万円程度の費用で約110m2の住居を建築することができます。
都市部に購入するより広い住居を購入することができますが、完成するまでは移住先での生活を始められないこと、先に移住した場合は完成するまでの借り住まいでの住居費がかかるなど、デメリットもあります。
2つの目の方法は、すでにある古民家などの中古住宅を購入する方法です。
地方では人口減少に伴い、空き家が増えており大きな問題となっています。その問題解決と移住者を呼び込むための施策として、自治体が中心となり移住者への住居あっせんを行っています。
中古住宅の場合、リフォームが必要になることもありますが購入費自体は1,000万円程度となっており、新築住居を購入するより費用は抑えられます。またリフォーム済みの住居の場合は移住後すぐに住むことができるので、スムーズに新生活を始められるメリットがあります。
その反面、立地や建物の築年数、状態などは住居によってさまざまなため、現地できちんと現物を確認する手間が発生します。
現地への移動費用も重なれば高額となりますので、事前のリサーチも重要になります。
賃貸を借りる場合
賃貸を借りる場合は、最初にかかる費用は仲介手数料や敷金、礼金、住み始め数か月の家賃だけとなるため、購入する場合より低く抑えられます。
家賃だけ見ても都市部よりは低く設定されていることが多く、地域によっては5万円程度で一戸建てを借りることも可能です。
ただ、節税対策のために建てられたアパートやマンションですと、周囲にほどんと建物がない場所に建てられている場合もあり、防犯面で不安を覚えるケースもあります。
また、すでに住んでいる他の住民がどのような人なのかも、あらかじめ把握しておいた方が良いかもしれません。
どのように準備する?
このように、住居費に関してはどのような住まいを求めるかで、最初にかかる費用が大きく変わります。また、移住前の地域でどのような住まいに暮らしているのかで、掛けられる費用も変わってくるでしょう。
そのため、何よりも大事なのは「移住先で自分や家族がどのように暮らしたいか」と明確にする事です。
移住を機に、自分好みの住居を建てたいのであれば移住先での土地を含めた新築費用を確認しましょう。自分が頭金としてどれだけ出せるのか、住宅ローンの返済金額はどのくらいになるのか、移住先での収入で生活費や教育費、老後資金を賄いながら無理なく返済できる金額なのか、を確認する必要があります。
中古住宅を購入する場合は、一括で購入するのかローンを組むのか、リフォームはどうするのか、を決め、それぞれに掛けられる費用を検討します。
賃貸の場合は、家賃の上限はいくらにするのか、いつまで賃貸で住み続けるのかを決める必要があります。
これらを決めた上で、現在の貯蓄額や移住先での収入見込み、移住後のライフプランとそれにかかる費用を併せて計算し、不足金額がいくらでいつまでに貯めるのかを把握します。不足金額と貯める期間が把握できたら、後は確実に貯められる方法で貯めていくだけになります。
まとめ
地方移住をして真っ先に必要となる住居ですが、購入するか賃貸にするかで最初にかかる費用は大きく変わります。
移住後も、購入した場合は住宅ローンの返済やメンテナンス費用が、賃貸の場合は月々の家賃や更新料が、住み続ける間ずっとかかってきます。
目先の費用だけでなく、ずっと住み続ける間にどれだけかかるのかも含め住居にかかる費用を算出し、ご自身のライフプランの中で問題なく支払い続けられるかを確認するようにしましょう。